過払い金Q&A | 司法書士法人たかやま事務所

借金をすでに完済した場合でも、過払い金請求をすることができます。
ただし、取引終了から１０年経過している場合には、時効消滅し、
過払い金請求できない場合（最高裁平成21.1.22）があります。
過払い金も、時間が経てば時効で消滅し請求できなくなってしまいう場合があります。
過払い金の時効消滅のタイミングは、取引が終了した時から10年です。
取引が始まった時から10年ではありません。
「10年以上前に借金をしているから、請求できないかな…」という方でも、
過払い金の無料調査をした結果、完済した時期は意外と10年以内だったということも
よくありますので、まずはご相談ください。

銀行のカードローンやクレジットカードのショッピングでは、
過払い金を請求することはできません。
銀行のカードローンは、一般的には15％以下と利息が低いため、過払い金が発生しておりません。 また、ショッピングには、利息制限法の適用がありませんので、過払い金が発生しません。

利息制限法を超える利率での取引があれば過払い金は発生していますが、借入期間が短い場合、
さほど過払い金が発生しないケースが多く、過払い金を請求するメリットがある期間としては、
一般的には３年程の借入期間が必要と考えられます。

特定調停で借金問題を解決した過去があっても、過払い金請求できます。
特定調停の場合、過払い金の有無、金額が具体的な争点とならず終了させてしまうことがあり、
「債務なし」「債権債務なし」との調停調書の文言に関わらず、過払い金を請求できます。

自己破産の場合についても、かつては利息制限法への利息の引き直しをせず、
申立をしていたことから、具体的に過払い金発生していたとの認識がない限り、
過払い金を請求できます。

現在、利息制限法の範囲内の利息だったとしても、
過去に利息制限法の利息を超えて支払いをしていた場合には、過払い金請求が可能です。
利息の引き直しは、過去にさかのぼって行いますので、過去の分の過払い金を請求できます。

過払い金請求は、２つの場合に分けられます。
①借金の残債が残っている状況で過払い金請求をする場合
②借金を完済し、残金が残っていない状況で過払い金の請求をする場合

このうち、①のケースで過払い金請求をして、手続き後も借金が残る場合には、
信用情報機関に登録されることになります（いわゆるブラックリストに載ることになります）。

②のケースでは、信用情報機関に登録はされません。
なお、この場合にも、継続的・包括的な契約の場合は、信用情報に登録される
リスクも可能性としては残るため、当事務所では、
解約・脱退の手続きをした上で、手続きを行うことにしています。

原則として、過払い金が発生している場合、どんな会社であったとしても過払い金を請求できます。
しかし、貸金業者の中には「本来の金額の1割から2割を返還する」という回答しか
出さない業者もあります。そのような業者に対し過払い金返還請求の裁判（訴訟）を起こし、
判決をとって強制執行しようとしても、業者の預金口座が見つからず差押えができない等、
功を奏しない場合もあります。

個人でも取引履歴を貸金業者から取り寄せをして過払い金請求をすることができます。
しかし、貸金業者の対応次第で、過払い金が出ているにもかかわらず大幅な減額を要求してきたり、
相手のペースで和解交渉を進められるなどのリスクもあります。
過払い金の請求を司法書士等の専門家に依頼すると費用は発生しますが、手間や時間を考えると、
専門家に任せるという選択肢も検討していただくとよいかと思います。

過払い金の請求には、利息をつけて請求をすることができます。
過払い金請求権は、商行為によって生じたものではないとして、
過払い金の利息は５％とされております（最高裁平成19.2.13）。

発生した過払い金に利息をつけて請求できる根拠は、
民法704条不当利得返還請求において、
悪意の受益者は利息をつけて返還しなければならないとするものです。

ここでいう悪意とは、「知っていた」という意味です。
貸金業者が悪意の受益者に該当するか否かについては、
貸金業法17条・18条書面の交付は、厳格な要件を要し、
43条1項「みなし弁済」の要件を満たさないことに対して
悪意性が推定されるとするものであったり（最高裁平成16.2.20）、
期限の利益喪失約款がついている場合任意性に欠け、「みなし弁済」の
要件を満たさないことに対して悪意性が推定されるとする判例
（最高裁平成18.1.13）があります。

ただし後者については、同判決以前は貸金業者には悪意性が推定されないとする最高裁判例
（平成21.7.10）があり、平成18年1月13日以前の過払い利息を争う貸金業者も現れております。

過払い金の請求は、それぞれの司法書士事務所や
法律事務所（弁護士事務所）により結果が異なります。
過払い金の相談や、債務整理・借金問題に積極的に取り組んでいない事務所もありますし、
事務所の効率を考え、過払い金に過払い利息５％を付けずに請求し、
相手の言うままに和解する事務所もあります。
当事務所では、依頼者の方一人一人を大事にし、過払い利息を付けて過払い金の請求を行い、
また裁判のほうが有利であれば積極的に訴訟を提起し、安易な和解は致しません。

過払い金請求をしても、上記の質問のように、事実上
過払い金を回収することができない貸金業者もあります。
しかしその場合は、回収することができた過払い金の金額以上の
手続き報酬を請求することはありません。過払い金請求をして損をする（赤字になる）
ということはありませんので、ご安心ください。

過払い金は、相続財産として、相続の対象となります。
しかし相続放棄をした場合、借金・負債などのマイナスの財産だけでなく、
プラスの財産もすべて放棄をして相続人にはならなかったものとみなされるため、
お父様の過払い金を請求することはできません。
なお、相続放棄について詐欺や脅迫があった場合、撤回をみとめた裁判例もありますが、
過払い金があるということを見逃したことにより
相続放棄を撤回するということは難しいと考えられます。